今注目のリベラルアーツ教育!家庭で実践できること

リベラルアーツとは最近注目を集めている、リベラルアーツ。

教育概念としてこれを重んじた私立の学校や塾なども少しずつ増えているようです。

直訳すると「自由を創造すること」で、ギリシャ・ローマ時代に生まれた言葉です。近い言葉に「一般教養」がありますが、それとは異なります。

リベラルアーツとは、定義では「人が学ぶべき実践的な教養」などと言われますが、もう少し補足すると、「幅広い知識や人間性を身に着け、固定観念に縛られず、本質を見極める洞察力を養い、新しい価値を生み出す教育」のことを指します。

ここでは、このリベラルアーツについて詳しくご紹介していきます。

なぜ、いまリベラルアーツなのか

この記事を読んでいる親御さん世代は二十代から五十代の方が多いかと思いますが、この世代の方々はリベラルアーツを教育として受けていません。

どちらかというと集団にいかに馴染むか、いかに教師の言うことを聞くかを重視してきました。しかし、日本人はいい大学を卒業しても、仕事に必要な知識やコミュニケーション能力が低かったり、リーダーシップを取れなかったりという問題点があると言われてきました。

これの原因は、日本の「皆で同じことをしよう」という画一的な教育だと分析されています。それを打開しようとしたのが「ゆとり教育」です。

ご存知のとおり、画一的なカリキュラムの時間を減らし、子どもたちに自由に発想してもらう時間を増やそうという試みです。

しかし、ゆとり教育は失敗に終わったと言われる理由は諸説ありますが、ひとつにはカリキュラムを減らしただけで、「自由に発想してもらう」ための方法が確立されていなかったためです。今や「ゆとり教育」とはその世代に同情したり、知識が少ない人を揶揄して使う言葉に成り下がってしまいました。

リベラルアーツ教育の目指す場所

しかし、画一的なだけの教育ではいつまでも前へ進めません。

グローバル化が進んでから、世界や時代の変化は急速で劇的なものになりました。それらにフレキシブルに対応でき、新たな価値を生み出していく人材の育成が、世界で求められています。

そこで出てきたのがこのリベラルアーツです。

学校の授業から学ぶだけではない、感じること、想像すること、創造すること、物事を俯瞰できる目線を育てること、違う価値観を受け止められること、革新的なアイディアを生み出せること。

そういった、世界で活躍できるリーダーを育てる学びが、リベラルアーツ教育の目指す場所になります。

リベラルアーツ教育とは、具体的に何をするの?

では、リベラルアーツ教育では、具体的に何をどう学ぶのでしょうか。

古代ローマでは「文法」「修辞学」「論理学」「算数」「幾何」「天文」「音楽」の自由七科がリベラルアーツと言われてきました。

これらの内容が、人が身に着けるべき学問として受け継がれてきたわけです。

しかし、現代ではこれらだけに留まりません。学校でリベラルアーツ科目を取り入れているところでは、「リーダーシップ学」があったり、「ボランティア学」があったりします。現代社会は多様性に満ち溢れています。

リベラルアーツに重みを置いている学校では、下記のような取り組みをしているところが多いです。

たくさんの本を読む

読書は、自分以外の人生を経験できる非常に貴重な機会です。

もともと、人間ひとりが見ることのできる世界は限られています。目は二つしかないし、体は一つしかないからです。

しかしさまざまな本を読むことによってさまざまな作者の考えに触れ、さまざまな登場人物に共感することができます。

豊かな人間を育てるには読書だ、と昔から言われてきましたが、それは現代でも変わりません。お子さんには、本をたくさん読ませましょう。

なお、本を読むうちに、たいていの人はお気に入りの作家やお気に入りの分野が出てきます。

もちろんそれらを読み進めるのもよいのですが、お気に入りの本だけ読むのではなく、なるべく幅広い分野や作者の本を読むことをお勧めします。

フィクションだけでなく、ノンフィクションやビジネス書なんかも多角的な目を育てるのに効果的です。

さまざまな人と出会う

人との出会いや触れ合いも、大切な教育の一環です。

人は自分の育った環境しか知ることができません。しかし世の中には育った場所や文化や言語が違う人がたくさんいます。文化の異なる相手と楽しく会話をしたり、何かを一緒にやり遂げることは、大人でも難しいです。

学校で友人を作ったり、部活に入ったりするのもさまざまな人と出会うのに良いですが、ぜひお子さんに国際交流の体験もさせてみましょう。

異文化との触れ合いは、多角的な視野を育てるのに非常に効果的です。私立の中学、高校、大学であればカリキュラムに組み込まれている学校もありますので、受験の時の検討要素の一つにしてみるのも良いですね。

EQが高い子どもとは

主体的に学ぶ

どんな仕事でもそうですが、言われたことだけをこなしても、あまり発展しません。

自ら考え、工夫し、ときに失敗しながらチャレンジしていく精神を磨いていくことも、リベラルアーツ教育の一つと言われています。

主体性を学ばせるのはなかなか難しいかもしれませんが、たとえば勉強でもお子さんご自身に計画を立てさせるとか、ニュースを観ている時に意見を述べさせるなど、ご家庭でも工夫してみるとよいかもしれません。

子供の「考える力」を育てよう

最後に

リベラルアーツとは、多様化する現代社会の中でリーダーシップを発揮し、生きる力を身に着ける学習です。

これを取り入れている学校を目指すのもよいですが、親御さんが意識するだけでも違います。ぜひご家庭で実践できることは実践してみてください。