やり抜く力がある子とない子!あきらめない子どもにするために親が出来る事

やり抜く力を身につける方法大人になるまでの間に「一度始めたことは、最後までやりましょう」と言われたことはあるのではないでしょうか。

これは学校教育の現場ではしばしば使われる言葉です。

「途中でやめるのは逃げること」と教えられ、あきらめることは許されなかったことも…。

でもその「あきらめない」「やめない」という意識は、人生において役立つことが多いのもまた事実です。

今回は子供の「やり抜く力」について考えてみましょう。

子どもに身につけさせたい「やり抜く力」!そもそもどのような力なの?

粘り強く最後までやり遂げる力

ここ数年「grit(グリット)」という単語に注目が集まっているのをご存じでしょうか。

「grit」はGuts=勇気、Resilience=回復力、Initiative=自発性、Tenacity=粘り強さの頭文字をとった言葉です。

つまり「グリット」とは、物事に対する情熱や目的を達成するために計測的に粘り強く最後までやり遂げる力のことです。

これは成果主義であるアメリカで注目されました。アメリカでは成功者に共通するものは何か、という議論がよく行われます。

これまで成功者に共通する要素は「才能」や「努力」と考えられてきました。

その成功要因は何かという研究に取り組んでいた1人が心理学者であるアンジェラ・リー・ダックワースでした。

成績上位者、成功者が共通して持っている力

彼女は教師をしているときに、数多くの生徒を指導する中で“成績が上位の生徒が必ずしもIQが高いわけではない”こと、そして“成績が下位の生徒が必ずしもIQが低いわけではない”ことに気が付きました。

彼女はその後心理学者に転身すると、調査と研究を重ね、成功者は共通して“やり抜く力「grit(グリット)」が高い”と結論付けました。

「やり抜く力」がある子どもとない子どもの違い

好奇心旺盛な子供では、最後までやれる子と途中で諦めてしまう子にはどのような差があるのでしょうか。

教員として様々な子と接してきて感じたことをお話していきます。

初めての物事の反応に差がある

まず1つ目は意欲の違いかと思います。はじめてやることに対して、やり抜く力がある子は最初から「おもしろそう」「やってみたい」と言ってくれます。

それに対してやり抜く力がない子は反応が鈍いように思います。何を考えているかわからない、といった表情です。

そしてはじまってみると、やり抜く力がある子はできなくても自分で創意工夫をしてみたり、大人にヒントを進んで聞きに来ることができます。

それに対してやり抜く力がない子は、手が止まってしまい、「できない」「無理」という言葉で終わらせてしまおうとします。

「こうしてみたら」とアドバイスしてみてもなかなか「そうか」と動いてはくれません。フットワークが非常に重いという印象です。

親子間のコミュニケーションに差がある

2つ目は親とのかかわりです。

やり抜く力がある子のほうが、非常に親子間でのコミュニケーションが多いように感じました。

どんな些細なことでも、つまらないことでも、なんでも話している、という感じです。

それに対してやり抜く力がない子は親とのコミュニケーションにおいて、何か話しても親が「ああでしょ」「こうでしょ」と決めつけてしまったり、時には「本人に任せています」と言う、いかにも本人主義のような話し方で子どもに無関心な感じが伝わってきます。

あくまでも筆者の主観になり、必ずしもそのような家庭ばかりではないとは思いますが、そのような点がいつも気になっていました。

子供の「考える力」を育てよう

家庭で出来る「やり抜く力」を身に付けさせる5つの方法

家庭でやり抜く力を身につける方法では、どうしたら子供に「やり抜く力」が身に付くのでしょうか。

できれば何でも最後までできる子であって欲しいと、と思ったら次の事に注意してみましょう。

好きなことを好きなだけできる環境を作る

興味がないことに取り組み続けることは苦痛です。

子どもが何かに興味を示したら、とことん取り組める環境を整えてあげることで自然とグリットを育むことができるでしょう。

「とりあえず」やってみる

最初から好奇心旺盛な子ばかりではありません。

そのような場合は「とりあえず」なんでもやらせてみるのもひとつの方法です。

やってみて「好きか」「嫌いか」を見極めてもよいと思います。最初は親が与えたものかもしれませんが、最終的には自分で選ばせます。

子どもが「嫌だ」と言ったら親もきっぱりあきらめましょう。

「もう少しやってみたら」「もうあきらめちゃうの」といった言葉はナンセンスです。

幼い子どもは親を喜ばせたい気持ちが強いので、そのような言葉を言われてしまうと続けるという選択をしてしまうでしょう。

とりあえずやるかもしれませんが、それは「やり抜く力」にはなりません。

目標を具体的に持たせる

できれば具体的な、成功可能な目標を持たせてあげることが大切です。

親はその目標を明確にするサポートをしてあげましょう。

道筋がしっかりしていると、子どももぶれずに道を歩むことを覚えます。

自信を身に付けさせる

小さな頃に成功経験をすることは、自信を身に付けることに繋がります。

自信が付くようになると、失敗を恐れずに挑戦することができるようになります。

成功したときは褒め、失敗しても「大丈夫」という言葉をかけてあげると、次に繋がっていくでしょう。

結果ではなくその過程を褒めてあげる

才能を褒めてしまうと、努力をしなくなってしまう可能性があったり、よい結果を得るために不正をしようとしたりする可能性があります。

テストで100点だったことを褒めるのではなく、100点が取れる様に勉強していたことを褒めてあげましょう。

読んでいて感じた方もいるかもしれませんが、「グリット」を育むためには親や周囲の大人の存在が大きく影響します。

大人の「環境づくり」と「言葉がけ」は子どもの「グリット」形成に大きく関係しているのです。

グリットにも「よいグリット」と「悪いグリット」がある

グリットは大切なものですが、情熱と根性でなりふり構わずやればよい、というわけではありません。

“よいグリット”というのは情熱、幸福感、目標設定、自制心、リスク・テイキング、謙虚さ、粘り強さ、忍耐の8要素から構成されていると言われています。

しかし、その要素が大きく欠けている場合、よい成果が得られない可能性があります。

そのように要素が欠けている状態が“悪いグリット”の状態です。

昔から日本では「根性論」や「精神論」というものがありましたが、「根性論」や「精神論」では良い結果が出るとは限らないですし、失うものも大きい可能性があるのです。

つまり“あきらめないからいい”のではないのです。時には“あきらめたほうがいい”場合もあるということを忘れないでください。

成功するということは才能だけでは導き出せません。やり抜く力は大人になって社会に出たときも役立つものです。

子どもの「グリット」を引き出すために“環境づくり”や“言葉がけ”で子どもをサポートしてみましょう。