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2017-05-02

定滑車と動滑車の問題の解き方!ポイントは性質の理解と仕事の計算

定滑車と動滑車の問題の解き方

今回は、「動滑車・定滑車」について学習をしていきます。

それぞれの滑車を利用した場合の力の関係について注目するだけであればさほど難しくはないのですが、この道具が登場するのが「仕事の原理」の分野の関係であることが、事態を少し厄介にしてしまいます。

つまり、滑車の性質を理解することに加えて、その性質を利用して、仕事の大きさを求める作業が要求されてしまいます。

そのため仕事の公式などについての定着を前提にした形の出題がなされてしまう結果、学生にとって「嫌気のさす分野」として認識されがちになってしまっているのです。

最終的には、滑車を利用した形式で仕事の大きさを求めなければならないのですが、その前に、

  1. 滑車の性質を完全に定着させること
  2. 仕事の計算(公式)を完全に定着させること

を第一の目標としてください。そして、この水準に到達した場合に、滑車を利用した仕事の問題に挑戦すると良いでしょう。

定滑車と動滑車

定滑車と動滑車

定滑車とは

滑車には、図1と図2のような2種類の滑車があります。図1にあるように、滑車の軸が天井などに固定されているものを定滑車と言います。

動滑車とは

これに対して、図2にあるように、滑車の軸がどこにも固定されていないものを動滑車と言います。

勉強のポイント

出題される中では、いくつもの滑車が複合的に関連付けられることがあり、その際にはどちらの滑車の理屈を使用しなければならないかを読み取らなければなりません。

そこで、その見極めのポイントが、「軸が固定されているかどうか」という点となります。

それでは、以下でそれぞれの滑車の性質について説明をします。「なぜその滑車を使用するのか」という目的に注目すると、知識が頭に残りやすいと思われます。

定滑車の性質

定滑車を使用する場合の目的は、「力の向きをかえる」ことにあります。

物体を引き上げる場合のことを想像してみてください。

ある物体にひもをつけて持ち上げたい場合、

  1. ひもを引き上げる、
  2. ひもを引き下げる、

という二つのやり方があれば、どちらの方が力を加えやすいでしょうか?

②ひもを引き下げる、方が、踏ん張りやすく、大きな力を加えることができるのではないでしょうか。

そこで、加える力の向きをかえるために利用するのが「定滑車」です。

定滑車で力の向きを変えられる

定滑車がなければ、ある物体を持ち上げるためには「上向き」の力を加える必要がありますが、定滑車を利用することで、それ以外の方向(下向き・横向き・斜め向きなど)に力を加えることができるようになるのです。

ひもをひく距離、力の大きさは同じ

ただし、このようなメリットがある反面、定滑車を使用したとしても、加えなければならない力の大きさが減るわけではなく、定滑車を使用しないで手で作業する場合と同じだけの力を加えなければなりません。

このように、加える力の大きさについて効率良くなるわけではないという意味でデメリットがあると言えるでしょう(動滑車について読んだ上で、それとの比較でもう一度読み返して下さい)。

定滑車のまとめ

まとめると、「力の方向を変えることができるが、加える力の大きさ・ひもを引く距離はかわらない」、これが定滑車の性質です。

動滑車の性質

動滑車を使用する場合の目的は、「力の大きさを少なくする」ことにあります。

ある物体を持ち上げたいとき、あまりに重たくて持ち上げることができないときに、動滑車を使用すれば持ち上げやすくなるのです。

半分の力で持ち上がる

具体的に説明すると、動滑車を1つ利用すれば、実際に手だけで作業するときに比べて半分の力の大きさでそのものを持ち上げることができるようになります。楽に持ち上げることができるようになる、ということです。

引くひもの距離は2倍になる

ただし、定滑車と違って固定されておらず、動滑車それ自体が動いてしまうので、手だけで作業するときと同じだけの高さを持ち上げるためには、ひもを引く距離は2倍を要することになります。

動滑車のまとめ

まとめると、「加える力の大きさは半分になるが、ひもを引く距離は2倍になる」、これが動滑車の性質です。

滑車の問題例

定滑車・動滑車の性質、使用目的を理解することができたならば、実際の問題を解くことで、より習得を目指しましょう。

もっとも、はじめに述べた通り、仕事の大きさが関係してくる場合もありますので、この点についての復習は必須です。

参考リンク:仕事率の求め方はこれで完璧!物理における仕事の定義と覚えておくべき公式

定滑車の基本問題

【問題1】

図1で、おもり(Load)を100gとした場合、おもりをもちあげるためには、何Nの力を加える必要があるか。ただし、100gの物体にはたらく重力の大きさを1Nとする。

まずは、問われている滑車について分析をしなければなりません。今回、図1で使用されている滑車は天井に固定されていますので「定滑車」ということが分かります。

したがって、定滑車の性質をしっかりと確認しましょう。

単位を変換しよう

さらに、問題ではおもりの重さが100gという単位で与えられていますが、引き上げる力を答えるためにはNに換算しなければなりません。

したがって、このおもりにはたらく重力の大きさは1Nであることが導かれます。

これで下準備が整い、本題です。

今回は定滑車が出題されており、単純に引く力の大きさについて考えればよいことになります。定滑車は加える力の向きをかえるために使用されるのであって、加える力の大きさに変化を与えるものではありませんでした。

解答

したがって、100gのおもりをもちあげるためには、1Nの力を加えることにある、ということになります。

かなり丁寧に説明しましたが、慣れると見た瞬間に答えがわかると思います。条件反射的な処理ができるようになるまでは、丁寧に一つずつ段階を踏むことを厭わず、定着を目指しましょう。

定滑車の基本問題

【問題2】

図2で、おもり(Load)を100gとした場合、おもりをもちあげるためには、何Nの力を加える必要があるか。ただし、100gの物体にはたらく重力の大きさを1Nとする。

同じく、使用されている滑車についての分析からはじめましょう。図2では、使用されている滑車はどこにも固定されていないことから「動滑車」であることがわかります。

そして、先程と同じように、おもりに加わる力について、単位を換算して、1Nの重力が加わっていることも確認しましょう。

そして、動滑車が使用される目的は、加える力の大きさを半分にする、ことであったことを思い出すことができれば、100gのおもりをもちあげるためには、0.5Nの力を加えることになる、ことが導かれます。

ひもの低距離を求める問題

【問題3】

定滑車と動滑車

図1、図2で、それぞれおもり(Load)を20cm持ち上げるためには、何cmひもをひかなければなりませんか。

滑車の問題は、基本的に、【問題1】【問題2】のように、加える力の大きさについて問う問題と、本問のように、引っ張らなければならないひもの長さを問う問題に分類することができます。

図1の引くひもの長さ

さて、図1で使用されている滑車は定滑車でした。定滑車については、力の方向をかえることだけが目的で、その他の事項については純粋な手作業の場合と何らかわるところがありませんでした。

したがって、おもりを20cm持ち上げるためには、同じく20cmひもを引かなければならないことになります。

図2の引くひもの長さ

図2で使用されている滑車は動滑車でした。動滑車については、加える力の大きさを半減させる効果が認められるかわりに、ひもをひく距離は2倍になってしまうというデメリットがありました。

したがって、おもりを20cm持ち上げるためには、2倍の40cmひもを引かなければならないことになります。

組み合わせ滑車

組み合わせ滑車

このように、定滑車と動滑車を組み合わせたものを「組み合わせ滑車」と言います。定滑車にも動滑車にも、それぞれメリット・デメリットがありました。

そして、これらを組み合わせて使用することによって、さまざまなメリットを享受しようという目的で、色んなパターンで組み合わされることになります。

組み合わせ滑車について

今回の図であれば、定滑車が1つ、動滑車が1つを組み合わせています。

これによって、定滑車では力の向きをかえることができる、動滑車では力の大きさを半減させることができる、という二つのメリットを両取りしようとしているのです。

例えば、図における物体(Load)の重さが200gであったとき物体を持ち上げるのに、何gの力を加える必要があるでしょうか?

この種の問題を解く上で、学校等では矢印を書き込むことによって処理する方法が説明されるかと思いますが、今回はあえて、滑車が使用される目的から見直すことで、簡単に解答を得る方法をご説明します。

滑車の性質から問題を解く

まずは、物体をつるしている動滑車について注目して下さい。動滑車の目的は、加える力を半分にして持ち上げることにありました。したがって、この物体の両側のひもには、それぞれ100gの上向きの力が加わることになります。

そして、残る定滑車についてですが、定滑車とはそもそも力の向きをかえる役割を担うもので、力の大きさに変更を加えるものではありませんでした。

したがって、物体を持ち上げるために必要な力は100gであることが導かれるのです。では最後に組み合わせ滑車の問題を解いてみましょう

組み合わせ滑車の応用問題

【例題4】

(左から順番に滑車1、2、3,4とする)
上の図でおもり(Load)を8tとした場合、おもりを持ち上げるためにはひもをいくつの力で引く必要がありますか?

組み合わせ滑車のパターンは無限にあるので、処理に慣れるしかないのですが、今回もそれぞれの滑車の意義について注目することで解答を導いてみましょう。

動滑車1、動滑車3、定滑車2、定滑車4の四つが組み合わされているパターンです。

動滑車1と3に加わる力を考える

まず、8tのおもりと直につながっている部分が、動滑車1と動滑車3の二つの動滑車であることから、それぞれ均等に4tずつの負荷がかかることが分かります。

そして、動滑車の意義が、加える力を半分にすることにありましたので、各滑車にあるそれぞれのひもには、上向きに2tずつの大きさが加わっていることが導かれます。

定滑車4の性質を考える

そして、定滑車4に注目したときに、定滑車はあくまでも力の方向をかえるためだけに設置されるもので、力の大きさに変更を加えるものではありませんでしたので、2tの大きさがそのままひもに伝わることになります。

答え

したがって、本問において、8tのおもりを引くためには、2tの力を加えることになります。

矢印をいくつも書き込むことで視覚的にわかり易くするというアプローチはもちろん大切なことです。

もっとも、そのようなやり方であったとしても、滑車の存在意義を忘れては複雑なパターンに対応することができません。

原理原則に立ち返ることができれば、図を簡単に読解するだけで、以上で述べたように解答を導くことができるのです。

さいごに

滑車の問題は、どこまでも複雑に作成することができますので、逐一全パターンについての解法を暗記するという勉強法を採用することはできません。

この意味で、暗記科目としてのメリットがなくなってしまうので、苦手とする生徒が多くなってしまいます。

しかし、今回の説明を読んでいただければ、根本の原理・意義に立ち返る作業をすることによって、ある程度の問題であれば、比較的簡単に処理できるということが分かってもらえたのではないでしょうか。

滑車に限らず、どのような分野についても言える学習法です。しっかりとした理解さえあれば、おおよその問題で躓くことはないでしょう。深い理解を目指しましょう。

さらに、今回は詳細について検討しませんでしたが、仕事の原理から派生する分野であることから、仕事の公式・単位などについての復習を欠かすことはできません。

今回いくつか挙げた例題について、例えばそれぞれについてひもを引き上げる長さについての設問を加えることによって、さらに仕事の大きさを問う問題にまで展開することは極めて容易です。

中学三年生での学習ですから、今まで習ってきたことを網羅的に処理することに慣れはじめなければなりません。体系的な学習を常に意図すれば、効果的な能力アップが見込めるでしょう。

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