中学受験の算数について!難関中学合格者が語る必勝の勉強法

中学受験の算数を勉強する子

激烈な競争が繰り広げられる中学受験。親子一丸となって挑むものであることから、その後控える高校受験や大学受験と比較しても特殊な過酷さがあるのが特徴です。

塾講師、家庭教師の経験から、国数理社の中で、量質ともにハードかつ合否に最も影響を与えうると言えるのが今回取り上げる算数です。

中学受験において算数が重要な理由

算数が受験における大きなポイントとなると言われるのは、受験生における得点分布が非常に広範囲に及ぶ傾向にあるという理由によるものです。

算数が本当に得意な生徒はどれだけ問題が難しくなったとしてもコンスタントに高得点を取り続けるでしょうし、他方で多くの受験生は問題の難易度に応じて獲得可能点数がかなり変動してしまいます。

普段は7~8割程度の得点率をキープしていたとしても、少し歯車が狂っただけで3割程度しか得点できないということも現実的であるというのが中学受験での算数の怖さです。

中学受験算数への向き合い方

皆さんご理解のことと思いますが、受験において捨て科目というものは存在しません。

そして算数に関しては、他の科目に比べても重要度が極めて高いということをまずはご理解頂きたい。

親御さん自身がこのことを肝に銘じるとともに、お子さんに対しても、算数は非常に大切な科目であることを常に意識させることが重要です。

その上で、算数という科目は「力差がかなり出やすい科目である」ということを学習の際の指針としつつ、目的意識をもたねばなりません。

目的意識を持つ

それでは、どのような目的意識が必要なのでしょうか?

それは「算数で高得点をあげること」ではありません。

「他の受験生よりも高得点をあげること」です。

例えば、100点満点中50点というだけでは受験算数的には何の評価もできません。

受験生平均が70点のテストにおいて50点では消極的な評価を下さざるをえないでしょうし、他方において、受験生平均が30点程度の難易度のテストにおける50点は大成功と評価しても過言ではありません。

あくまでも他の受験生との関係で高得点をあげることが終局的なテーマなのです。

苦手な単元を作らない

他の受験生に優位するための指針として大切なのが、「苦手な箇所を作らない」ということです。

9割の分野で完璧な理解をしていたとしても、1割について平均以下の習熟度しかなければ、その1割が出題されたときに大怪我をしてしまいます。

そして、算数における大怪我は、他の科目におけるそれとは被害の規模が甚大となります。

苦手箇所を絶対的になくす、これがもつべき学習における目的意識です。

御三家に受かる子供が持つ力

中学受験算数の偏差値を上げるための勉強法

算数の偏差値を上げる勉強

さて、中学受験における算数の勉強の指針が「苦手分野をなくすこと」に主眼を置くとして、それでは普段からどのような方策をとることによって偏差値の向上を図ることができるのでしょうか。

大前提は「毎日算数に触れること」

まず何より大切なことは、確実に毎日算数の勉強をするということです。

お子さんの年齢・学年にかかわらず、算数に触れない日を作ってはいけません。

他の科目や習い事の関係で、勉強時間に限界があるのは承知しております。

タイトなスケジュールの中に身をおくお子さんは多いでしょう。そうであったとしても、最低でも計算問題演習だけでも継続して下さい。

小学生の期間は、人生の中で最も頭脳的に成長する時期です。

色々なものを、柔軟性をもって吸収し、どれだけ過酷な課題であったとしても、継続していればそれを熟すことに簡単に慣れることができる時期です。

もちろん圧迫のし過ぎは厳禁ですが、他方で余計な休暇を与える必要もありません。そして、毎日算数の勉強に触れるということは、お子さんにとって「過度の圧迫」には該当しません。

また、算数の能力とは、日々積み重ねていくべきものです。一日計算問題の演習をしないだけで、その三日分のロスがあると思って頂いて結構です。

計算演習は勉強の準備運動

まず、一日の勉強をはじめるにあたって、一番はじめに四則計算問題をさせて下さい。

いわば運動前の準備運動のようなものですが、同時に算数にとって必須の計算能力を日々鍛えることができます。

そしてその具体的な方法ですが、時間をかけてのんびりと解くのでは意味がありません。

10問~20問程度の区切りで、時間を図って制限時間内で解答させる訓練を図りましょう。

塾で指導していた際も家庭教師として指導していた際も共通していたのですが、プリント一枚につき10問~20問程度の計算問題を印刷したものを、全部で100枚用意していました。

はじめから順番に毎日最低一枚、時間を図って計算させる。そして、各ページの余白部分に「日付、完了までの時間、正答率」を都度記入させるのです。

勉強の基本は積み重ね

継続していれば、必然的に同じプリントを何度も演習することになるのですが、確実に計算能力は上昇しますので、以前と比べた分析をすることができます。

計算速度は上昇しているが正答率が下がっている、以前よりも分数の計算でも間違いが増えている等々、お子さんの計算能力について客観的な分析をするための材料としても機能します。

他方においてお子さん自身にとっても、自分の勉強してきた軌跡を常に目にできることになりますので、「勉強は単発的なものではなく、長期的に繋がったものなのだ」という意識をもつことにも資することになります。

毎日三十分程度の時間を割くだけで、数枚のプリントを熟せるはずです。

受験において必須の計算基礎力を蓄えることもできますし、時間を意識した勉強スタイルを作り上げることもできますので、絶対に欠かさないようにお願い致します。

そして、これは極端な話、受験当日の朝にも実践して頂きたい。

受験当日の朝、ルーティーンの計算問題を家でクリアしてから受験会場に向かうだけの余裕を作り上げてやることができれば、ほとんど目標を達成したと言っても過言ではありません。

どのレベルで躓き、どのレベルまで解けるのかを把握する

算数にも当然いくつもの分野が存在することになりますし、分野ごとに難易度が異なるのも当然ですが、見落としがちな点は、分野内でも問題の難易度に差があるということです。

「うちの子は速さの問題が苦手だから…」というような文句は、実は何も実態を語ってはいません。

速さの問題のどのレベルで躓いているのか、逆にどこまでの難易度であれば容易にこなすことができるのか、しっかりと把握してやるのは親御さんの役割です。

ということで、受験算数を成功させることができるかどうかを大きく左右するのは、親御さんがどれだけお子さんの実態を理解できていて、その上で問題群を整理することができているか、ということです。

もちろん、塾・問題集などでも一定の難易度分けはされていますが、あくまでも「一般的な生徒」を対象とした分類に過ぎません。

大切なのは、我が子にとっての難易度区分です。

家庭教師をお願いしているのであればここまでをフォローしてもらえばよいのですが、集団指導の塾ではこの作業に限界があります。

子供の理解を整理・把握するための方法

そこで、親御さんにお願いするしかないのですが、具体的に申し上げますと、全ての問題をABCの三段階にランク付けしておくことをおススメします。

お子さんが新しい分野を学習するたびに、演習問題の解答状況や解答プロセスから判断して、各問題の横にABCのいずれかを記入しておいてください。

久しぶりに当該分野の復習をするときならば、「まずはAランクの問題だけ解いてみようか」という形で促すこともできますし、お子さんの勉強に対する調子が良いタイミングであれば「Cランクの問題だけ挑戦してみようか」というような形でカリキュラムの指針とすることもできます。

語弊があるかもしれませんが、中学受験は「育成ゲーム」のようなものです。

お子さんにゲームをするなと言いつつ、指導者側がこのような感覚をもっているのは背理的ではあるのですが、どのような能力が足りていないのか、どのような分野を苦手としているのか、どのような段階で文章問題において躓きが散見されるのかなど、保護者側がこれらを把握していれば克服すべき対象を絞ることが容易になります。

中学受験の志望校選び

答え合わせは親の役割

ご家庭での勉強の際、基本的にどの科目についても親御さんに答え合わせの役割を担って頂きたい。

そして、特に算数に関しては、お子さんの解答プロセスについての分析も必要となりますので、お子さんに任せるには限界があります。

上述の通り、問題ごとの難易度を確実に設定するためにも、解答集はお子さんが触れる必要のないものです。

算数の新分野を学習する上で注意すべきこと

どの時期で全ての分野についての学習が完了するかは塾の進度等に大きく影響されるものではありますが、基本的に中学受験を本格的に実施しているところであれば、六年生の夏には一通りの学習を終えているはずです。

ということは、この時期に至るまではどうしても「新しい知識の習得」に時間を割かざるをえないために、それまでに学習した範囲についての復習までは余裕がなく、焦りが生まれるかもしれません。

理想は、上述のように分析した難易度ごとの問題群を利用して、適宜復習の時間を作っていただくべきなのですが、実際はそのように上手く事態は運ばないでしょう。

そうであるならば、新たに様々な知識を習得している段階では復習を完全に無視してしまっても問題ありません。

大切なのは、まずは確実に知識を習得することです。したがって、お子さんが新分野の学習をしている間に、「後になって復習をしやすいような状況を作っておく」サポートを親御さんがしておくと良いのです。

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