語彙力の大切さと読書の必要性について!語彙力を高めるために今すぐ出来ること

語彙力と読書の重要性

自分の気持ちを表現しようとするとき、「ヤバイ」「すごい」「うける」「きもい」などの決まりきった語彙だけですませてしまう若者が増えています。

たとえ豊かな感受性を持っていたとしても、「やばい、まじすごい」としか表現できないのでは、自分の気持ちを正確に理解してもらうことも、共感を得ることも難しいですよね。

人間は言葉で思考する

人間は言葉を使って思考する生き物なので、獲得した語彙の範囲でしかものを考えたり、何かを理解することはできません。

つまり、獲得した語彙の幅がそのままその人の世界の幅といっても過言ではないのです。

また基礎学力を養う観点からも、豊富な語彙を身につけることは不可欠です。基礎学力を養うための訓練はおもに文章を読むことで(文字を媒介にして)行われるからです。教科書に出てくる語彙のいちいちにつまずいていたら、全体的な内容を理解するのはできません。

それでは、文章を的確に、素早く把握するため、そして思考をより深めるための語彙力はどのようにして身につけたらよいのでしょうか。

どれぐらい語彙を知っていればいいの?

現在日本の子供たちは、その約90%が就学前に基本的なひらがなをすべて読めるようになっていますし、すでに2000〜7000語の語彙を獲得していると言われています。

日常生活に必要な語彙数は3000語

日常生活を送るうえで必要な語彙、いわゆる基本語は約3000語ですから、大半の子供たちが公的な教育を受ける前にすでにこの基本語を獲得していることになります。

高度な言語活動に必要な語彙数は3万〜5万語

日常生活を送るうえで必要な語彙数は3000語前後ですが、新聞や論文、学術書、専門書を読むなどの高度な言語活動をおこなうために必要な語彙数は3万〜5万語です。

つまり、大学等での専門教育を受けるまでに、子供たちはその語彙力を10倍程度にまで増やさなくてはならないことになります。

子供たちはどうやって語彙を増やしていくの?

高校までの学校教育で習う語彙数は約1万語

当然学校で習うのだろうと考えたくなりますが、学校で直接習うことばの量はそれほど多くはありません。

小学校で習う漢字は1006字、中学校では1130字、高校では2163字ある常用漢字の読み書き、文章の中での使い慣れが求められます。トータルでの語彙数は訓読み、音読み、熟語のバリエーションを加えても1万語程度です。

では、就学前と同様に日常の会話やテレビなどのメディアを通して自然に語彙を獲得し続けるのでしょうか?

日常会話、テレビでは語彙量は増えない

残念ながら、日常会話や娯楽番組で使用されている語彙は、ほぼ基本語の範囲におさまっています。

日常会話やテレビをとおしての言語刺激は量的には膨大ですが、子供たちが新しい語彙(未知語)に接する機会としては、それほど期待できない、ということになります。

そこで、子供たちが新しい語彙を獲得するうえで大きな役割を果たしていると思われるのが、自発的な読書の習慣です。

読書の重要性と必要な語彙数

語彙数と読書

ではどれだけ読書が重要なのか?定量的な数値をもとにご説明したいと思います。

1日に20分以上の読書習慣がある子供が、1年間に接する語彙は1分間に80語の語彙に接すると仮定して考えてみます。

読書習慣のある子供が1年間に接する語彙量

80語 × 20分 × 200日(年間に読書する日数) = 32万語

1年間に接する語彙の5%が未知語

32万語 × 0.05 = 16000語

16000語の未知語の1割を身につける

16000語 × 0.1 = 1600語

12年間読書習慣を継続

1600語 × 12 = 19200語

小中高での教育で身につけられる語彙数が約1万語

1万語 + 19200語 = 約3万語

高度な言語活動に必要な語彙数をほぼ確保できることになります。

進む子供たちの読書離れ

いま、各種メディアの発達による子供たちの読書離れが指摘されています。

全国学校図書館協議会の調査によると、1ヶ月に1冊も本を読まなかった子供の割合は小学生で4%、中学生で15.4%、高校生で57.1%と中学生以降の読書量が極端に減少しています。

読書離れと共に学力の低下も

さらに、読書離れに呼応して子供たちの獲得語彙数も低下しています。メディア教育開発センターの調査によると中堅私大生19%の獲得語彙数は「鶴の一声」「露骨に」などの意味の分からない「中3レベル」以下だったそうです。

母国語だから自然に身につくはず、というのは幻想です。語彙力を伸ばすために、読書の果たす大きな役割を再認識したいですね。

読書離れを改善して語彙力を高めるために今からできること

「うちの子は読書嫌い」と諦めてしまうのはもったいないです。ぜひ、お子さんに読書の楽しさ、言葉のおもしろさを味わう機会を与えてあげてください。

読書嫌いな子には読み聞かせからスタート

小学生の高学年でも、興味をもって読める絵本がたくさんあります。もし読み聞かせを嫌がるようだったら、同じ本を2冊用意して一緒に黙読するのもいいでしょう。子供たちは、親と同じ体験をするのが大好きです。人と関わるのは得意だけれど、読書という孤独な作業には二の足を踏んでしまう、というお子さんにも、ぜひ試してほしい方法です。

国語辞書を読む

三島由紀夫も語彙力を増やすために国語辞書を読んでいたといいます。ぱっと開いたページの目についた言葉に毎日しるしをつけていくだけでも、効果はあるそうです。

月に一度は子供と一緒に大型書店へ

おもしろそうだと思う本を親子で選んで一緒に読んでみましょう。大型書店には様々な分野の本があるので、子供の視野を広げることにもつながります。物語に興味がもてない子供には、好きなスポーツの解説書や歴史書もお勧めです。語彙力を伸ばすためには、ジャンルに拘らず、いろんなタイプの文章に触れることが大切です。

まとめ

子供たちが読書などを通して出会ったことばは、普段の会話のなかで使われることで、その定着率はさらに高まります。

子供たちが今どんな語彙を獲得しようとしているのか、いま取り組んでいる教科書や読んでいる本にはお母さんも目を通して、普段の会話に登場させる語彙を意識して増やしてみてはいかがでしょうか。

参考文献:
「the nature of vocaburary acquisition」の推計データ
「図説日本語ーグラフでみる日本語の姿」(角川小辞典)

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