ICT教育を導入している私立中学校から見る現状とこれから

ICT教育を学ぶ中学生

最近、ICT教育という言葉をニュースや新聞で耳にしたことや読んだことはありますか?もしくは、お子さんが通っている学校で「ICT教育導入のお知らせ」というプリントが渡され、話を聞きに行かれて戸惑っている親御さんもいらっしゃるのではないでしょうか。

筆者はとある私立中学校の見学会で電子黒板をフル活用しているのをみて、びっくりしました。さらに、子供の学校では5年前からICT教育を一部のコースで導入している学校でしたので、説明会では驚くばかりでした。

ICT教育を導入してからフル活用できている学校がある一方、様々な問題で困っている学校もあるようです。

ここでは、私立中学校でのICT教育についての最新事情をご紹介していきます。

ICT教育導入の現状

そもそも、ICT教育とは、情報通信技術(Information&Communication Technology)を用いた教育です。文部科学省から公立私立、さらに小中高を問わず、「ICT教育導入」求められています。

ただ、公立小学校でICT教育が導入されている例としては、先生専用のパソコンと、テレビとの接続で解説するというレベルで止まっています。

私立中学校で積極的にICT教育を導入し学力向上につなげている学校では、次のようなことを行なっています。

  • 1人1台のタブレット端末の使用
  • 電子黒板とタブレット端末との連動
  • 欠席時の授業の動画配信
  • 家庭学習への活用
  • 情報分析をしながら調べていくことで探究心と思考力を向上させる

ネット技術を利用して、ICT教育をフル活用した指導を行なっています。

導入実績調査から見るICT導入校の様子

ICT教育専門サイトが2016年3月に首都圏の私立小中高校を対象に、導入実績を調査したところ、回答があった学校50校について分析した結果、小中高では約半分という結果でした。中学校のみの結果は公表されていませんが、わずかともいえるでしょう。しかし、2016年の時点で「検討中」としていた学校が、現在導入している可能性は高くなっているかもしれません。

参照:「私学アンケートの結果からICTは導入したけれど・・・宝のもち腐れ?」

ICT教育を行なった結果、学力が向上したというデータもありますが、導入に成功した学校と、挫折している学校と、導入しない学校と私立中学校でもかなりわかれます。

なぜICT教育に対して、学校で意見が別れるか?

それは学校側や生徒側と双方に問題があると言われています。

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2017.07.27

ICT教育導入時に起こる学校側の問題

まず、生徒ひとりひとりに端末を持たせるということ、先生用の端末も必要だということがICT教育の大前提になります。

学校内での使用は、タブレットではWi-Fi環境が必要となります。在学している生徒全員に持ってもらう場合は、全ての教室にWi-Fi環境を用意する必要が出てきます。設備面からみると電子黒板を用意することは決して安いものではありません。

また、タブレットもしくはパソコンとの接続で使用していくので、全教員が使いこなせるようになっていなければいけません。
もちろん、端末についても、先生用にカスタマイズされたものが支給されるので、授業用に使用できるような操作も必要です。

さらには、マシントラブルが出た時に、いつでも駆けつけられる技術サポート担当教員の育成も大切です。筆者の子供が通う学校ではサポート担当教員はいますが、各自授業を持ちながらという環境ではありますが、トラブルがあったら駆けつけられるように、複数の先生がサポート担当教員として育成されています。

学校側での設備投資はもちろん、教員が使いこなせて、トラブルが発生した時に対応できる先生の育成に時間が必要というのが、導入の第一関門です。

ICT教育導入時に起こる生徒側の問題

次は、生徒側の目線で問題となっているところを見ましょう。まず、端末の費用負担です。1人1台持たせる学校とレンタルとする学校、Wi-Fiモデルかセルラー(スマホと同じシステム)モデルかで、負担金額が変わるので、お知らせを受け取ったお母さんとしては悩むところではないでしょうか。

筆者の子供が通っている学校の例では、中2から高3までが導入。個別購入とし、初期費用は約13万円(本体台・付属品・カスタマイズ代)、Wi-Fiモデルで、保守点検代と保険代が、中2の2期分から5万円をもらうという契約になります。

学校によっては、校外学習にも端末を持っていくためにと、セルラーモデルで購入し、毎月契約電話会社から使用料を請求するというケースもあります。

また、中高一貫校となると、中1から持つことになれば、途中でバッテーリー切れや落としてしまって液晶が割れるということも出てくるでしょう。ほとんどの学校がアップル社のiPad Proを使っているのに、アップルケアというアップル製品に対しての保証制度には入らず、独自の保証制度で修理対応をするということもあり、割高になるケースも出てきます。

生徒に渡される端末には強力なフィルタリングはかけられますが、抜け道を知っている生徒がまれにいるようで、課金アプリを無断で入れてしまうということもあるようです。課金アプリの他に、SNSアプリを入れようとする生徒は必ずいるという話を聞きます。

ICT教育導入にあたって必要なことと導入後の授業内容

学校側と生徒側で様々な問題は出ていますが、ICTを使った授業を行うとどうなるかということを、先生も生徒側もしっかり理解する必要があります。

そのため、中1すぐからの導入ではなく、中1の終わり頃から中2の生徒と共同授業を行う中で、端末操作や、利用するにあたっての指導が徹底的に行われます。

本格的に端末を動かすには、テスト期間が必要になってきますよね。そこで、先生が使用する端末操作の講習を受け、電子黒板と連動させた模擬授業などを行ない慣れていきます。

端末を使う前に作ってある4つのルール

端末については、学校側の考え方により、自費購入かレンタルかなど分かれますが、基本として渡す前に4つのルールを作ってあります。

  1. フィルタリングは絶対に外させないようにしておく
  2. SNS系のアプリを入れようとしても拒否するシステムを組み込む
  3. 課金アプリは認めない
  4. 学習のために必要なアプリを入れたい場合は、厳重な審査をかける

など、生徒に端末を渡す前に必ず守らせるルール作りをしっかり行い、守らない生徒に対しては、一定期間の使用禁止などを定めている学校はあります。

情報モラルがまだまだ未熟な子供にハイスペックな道具を渡すことは、少し間違えると危険と隣り合わせになるため、厳しいルールを作っておく必要があります。

ICT教育を成功させている授業内容

ICT導入は黒板やプロジェクターではわかりにくい「数学」「英語」の授業に力を発揮しています。特に数学の「立体図面の展開」をiPadの人差し指操作で、少しスライドさせるだけで、立体図面が正面から底面に動いていくという操作もでき、わかりやすいという評判が高いです。

ICT教育の導入増加には課題をクリアにすることが必要不可欠

ICT教育は国をあげて、公立私立を問わずに小中高生に導入を呼びかけていますが、設備費の問題、使用端末の費用、使用アプリの選定で、悩むところが多いでしょう。

導入についてサポートがある教育系の会社で有名なアプリとしては、生徒と先生間、そして家庭との連絡にも使用可能「Classi」「ロイロノート」などがあげられます。

将来的には、保護者会や行事の出欠確認をぺーパーレス化し、生徒の端末もしくは保護者用のパスワードが発行され、専用画面で管理できるようになる予定です。

端末に入るアプリは勉強関連もので、副教材も含まれる可能性はありますが、最大の問題は、端末の費用面でしょう。

筆者が出席した説明会でも、購入という点での一番質問が多く、保険代等の金額について納得している様子ではない保護者の方も見受けられました。

そのような面から、国からも購入費用などの助成制度などがあれば、ICT教育の導入は加速するのではないでしょうか。

まとめ

端末導入をすでに始めていた学校は、グローバルコミュニケーションとして、外国の提携校生徒とのコミュニケーションとして、スカイプを利用していました。さらに、今後社会人になって困らないようにと、WordやExcel、PowerPointの指導も行なっています。

プレゼンテーションで使われるPowerPointをいとも簡単に操作している子供達の姿に驚きました。

まだ、学校の方針としてICT教育を行わないという学校はもちろんあります。それは仕方のないことですが、将来的には、ICT教育というものが、ごく当たり前の教育になる日はそう遠くないのかもしれません。

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